
大手鉄鋼メーカーの神戸製鋼所は、自動車や航空機などに幅広く使われるアルミ製品や銅製品の一部について、強度などの検査証明書のデータを改ざんして出荷していたことを明らかにしました。
製品の納入先はおよそ200社に上るとしています。
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製造担当者だけでなく品質保証担当者も改ざん?顔や名前の公表は?改ざんした動機は?
Contents
なにがあったのか?
NHKの報道です。
大手鉄鋼メーカーの神戸製鋼所は、自動車や航空機などに幅広く使われるアルミ製品や銅製品の一部について、強度などの検査証明書のデータを改ざんして出荷していたことを明らかにしました。製品の納入先はおよそ200社に上るとしています。
これは神戸製鋼所が8日午後、東京都内で記者会見して明らかにしました。
それによりますと、神戸製鋼では、ことし8月末までの1年間に出荷したアルミ製品や銅製品の一部で、事前に顧客と取り交わした強度などの基準を満たしていないにもかかわらず、検査証明書のデータを書き換えるなどして出荷していたということです。データの改ざんは、栃木県や三重県などにある国内4つの工場で確認され、アルミ製品がおよそ1万9300トン、銅製品がおよそ2200トンに上るなどとしています。
また、この製品は自動車や航空機などの部品として幅広く使われており、納入先はおよそ200社に上るということです。こうしたことから、会社側は事態は重大だとして、「品質問題調査委員会」を設置し、詳しい調査を始めました。会社側によりますと、これまでのところ、出荷した製品の安全性に具体的な問題は確認されていないとしています。
記者会見した神戸製鋼の梅原尚人副社長は「重大事案を生じさせたことを深く反省するとともに、多大なご心配とご迷惑をおかけし、心よりおわび申し上げます」と陳謝しました。
引用元 NHK NEWS WEB

改ざんは、アルミ製品や銅製品の一部。
栃木県や三重県などにある国内4つの工場全てで改ざんがあり、ボリュームは、わかっているだけで、アルミ製品がおよそ1万9300トン、銅製品がおよそ2200トン、アルミ鋳鍛造品が1万9400トン。
神戸製鋼の出荷量の約4%にあたるとのこと。
事前に顧客と取り交わした強度や耐久性などの性能面で、基準を満たしていないにもかかわらず、検査証明書のデータを書き換えるなどしたようです。
これは、かなりのボリュームですね。
あまりに多すぎます。
また、2016年9月~2017年8月末までの1年間に出荷したものとしていますが、10年以上前から続いていたケースも見つかっています。
神戸製鋼の梅原尚人副社長は「重大事案を生じさせたことを深く反省するとともに、多大なご心配とご迷惑をおかけし、心よりおわび申し上げます」と陳謝しました。
顧客や出荷先は?保証は?
製品は自動車や航空機などの部品として幅広く使われており、納入先はおよそ200社に上るということです。
問題があった部品の具体的な出荷先の業界や企業名は、まだ明らかにしていませんが、旅客機MRJなどに出荷したという報道があります。
すでに出荷先への説明を開始。
「品質問題調査委員会」を設置し、安全性など品質への影響について検証を進めるとしています。
これまでのところ、出荷した製品の安全性に具体的な問題は確認されていません。
また、外部の法律事務所にも調査を依頼しています。
今のところ、業績への影響は不明とのこと。
いずれにせよ、保証の問題もでそうです。
誰がやった?
梅原尚人副社長によると、管理職を含む数十人が改ざんに関与したり、黙認したりしており、「組織ぐるみ」だったと説明しています。
となると、かなり前から改ざんは、されていたと思われます。
株価は?
グループを含め、株価の暴落が予想されます。
株主には、どのような説明をするのでしょうか。
過去にも
昨年6月にも、ばね用の鋼線をつくるグループ会社が一部の製品の強度を偽って出荷したと発表しています。
その後、神戸製鋼所やグループ会社で「新たな問題は確認できなかった」としていました。
調査が甘かったのか、わざと隠蔽していたのか。
今後の調査が注目です。
企業によるデータ改ざん問題では、平成28年に発覚した三菱自動車による燃費データ不正問題があります。
三菱自動車の開発部門が高い燃費目標を達成するため、軽自動車4車種の燃費試験で意図的に燃費を良く見せるよう数値の改ざんでした。
これは、三菱自動車が日産自動車の傘下に加わるきっかけとなりました。
今回の問題は、業界再編もあり得る問題です。
会社概要
- 会社名:株式会社神戸製鋼所
- グループブランド:KOBELCO
- 創立:1905年9月1日
- 設立:1911年6月28日
- 資本金:2509億円(2017年3月31日現在)
- 代表取締役会長兼社長:川崎 博也
- 従業員数:
連結・36951人(2017年3月31日現在)
単体・11034人(2017年3月31日現在、出向者を除く)
子会社・213社(2017年3月31日現在)
関連会社・56社(2017年3月31日現在)
神戸本社
〒651-8585 兵庫県神戸市中央区脇浜海岸通2-2-4
Tel:078-261-5111
Fax:078-261-4123
東京本社
〒141-8688 東京都品川区北品川5-9-12 ONビル
Tel:03-5739-6000
Fax:03-5739-6903
真岡製造所
〒321-4367 栃木県真岡市鬼怒ヶ丘15 第2工業団地
Tel:0285-82-4111
Fax:0285-84-0231
大安工場
〒511-0284 三重県いなべ市大安町梅戸1100
Tel:0594-77-0330
Fax:0594-77-2249
おわりに
業界にとって、大きな問題が発覚しました。
こうなると、どこを信用したらいいのか、消費者レベルでも不安です。
※10月10日追記:ロケット部品も改ざん
神戸製鋼が強度や耐久性を偽って販売していたアルミは10日、種子島で打ち上げられたH2Aロケットにも使用されていました。
製造した三菱重工は、安全性を確認した上で予定通り打ち上げたといいます。
また、東海道新幹線や東北新幹線などの車両の一部に使われていたほか、自動車でも日産やトヨタのボンネットやドアをはじめスバル、マツダなど複数のメーカーで使われていたとのこと。
これまでのところ安全性に問題があるとの報告はありません。
安全率があるとは言え、本当に大丈夫なのでしょうか。
実データが、計算より上回ったとしても、品質にはバラツキは必ずあります。
そのための安全率とも言えます。
神戸製鋼は、少なくともこの10年、改ざんを続けており、ずさんな企業体質のあり方が問われています。
生活にダイレクトで関係することなので、不安ですね。
※10月11日追記:鉄粉も改ざん
神戸製鋼の社内調査で、新たに自動車や家電などの部品の材料になる「鉄粉」についてもデータを改ざんし、顧客と事前に約束した基準を満たす製品として出荷していた疑いがあることがわかりました。
これまでのところ、取引先の1社に納入された鉄粉の製品1つが改ざんの疑いがあるということです。
さらに、ほかの会社から依頼を受けて工業製品の成分などを検査しているグループ会社「コベルコ科研」でも、検査結果を改ざんし、実際には、検出されていないのに検出したというデータをまとめ、報告していた疑いがあることもわかりました。
会社側では、ほかの製品にもデータの改ざんがないか、調査を進めることにしているとのこと。
改ざんは、もうやった本人も覚えてないくらい、膨大な数なのではないでしょうか。
今は、とにかく、調べ倒して、安全に問題がないか確認しかありません。
事故が起こる前に、全てが確認できればよいのですが。
※10月12日追記:子会社も改ざん、製缶大手声明
神戸製鋼の子会社「コベルコ科研」は、液晶画面やDVD製造などに使われる「ターゲット材」と呼ばれる金属材料について、製品を検査したように装ったり、データを書き換えたりして出荷していました。
問題の材料は、2011年11月以降、70社に納品されていたとのことです。
神戸製鋼所は、自動車部品などの材料となる鉄粉でも改ざんがわかり、およそ140トンを出荷していたと発表しました。
また、鉄鋼新聞が、主要ユーザーの製缶メーカー各社の声明を報道しました。
神戸製鋼がアルミ板の品質データを改ざんしていた問題で、主要ユーザーの製缶メーカー各社が「アルミ缶の製品品質には問題がない」との声明を発表した。
東洋製罐は11日、神戸製鋼から購入しているアルミ材について、取り交わした規格から逸脱したものが一部納入されていたことが判明したと発表した。しかしながら「対象のアルミ缶・蓋製品に関しては、当社の製品規格内に入っており製品品質に問題がないことを確認している」と明らかにした。
大和製罐も10日、規格を外れたアルミ材の納入を確認したとしているが「当社で缶や蓋に加工したのち工程検査にて寸法、強度測定を行い、規格に合格した製品のみを出荷している」と説明。ユニバーサル製缶も11日時点で「神戸製鋼の材料はSOT缶、ボトル缶、缶蓋に使用されているが、当社で検査・確認した上で、合格した製品のみを出荷しているので安心して使用していただける」と公表している。
昭和アルミニウム缶は「一部製品で規格を外れた製品を確認したが、当社基準の品質で出荷している。対象となる製品の供給先にも『アルミ缶の品質に問題がない』とすでに説明している」とした。引用元 鉄鋼新聞
各社とも、問題ないと述べています。
※10月14日追伸:鉄鋼製品の「線材」も!川崎会長兼社長会見
アルミ製品などの性能データを改竄(かいざん)していた神戸製鋼所は13日、鉄鋼製品の「線材」や「銅管」など新たに9製品の不正を確認したと発表した。川崎博也会長兼社長は前日、不正が疑われる事例に「鉄鋼製品は入っていない」と強調していたが、わずか1日で訂正。約200社と説明していた問題製品の納入先も約500社に拡大し、情報開示の姿勢や説明責任が問われそうだ。
9製品の不正のうち、4製品は過去に取締役会で把握しながら対外的に公表していなかった。
川崎会長兼社長が東京都内で記者会見し、「顧客(取引先)と消費者に多大なご迷惑をお掛けし、改めておわび申し上げる」と陳謝。前日の説明と食い違った点について「(今回の)自主点検で見つけていないという意味で申し上げた」と苦しい釈明に終始した。
その上で、まずは問題の原因究明と再発防止策の策定に力を入れるとし、「その後、進退の議論はあるかもしれないが、慎重に考えたい」と述べた。
新たに判明したのは、東京電力福島第2原発に神戸製鋼の子会社が納入した銅合金の配管やアルミ合金線、自動車エンジン部品のばね、タイヤの補強に使う線材と呼ぶ鉄鋼製品など9製品で、仕様を満たさないデータを書き換えるなどしていた。
過去にデータ改竄を行ったグループ会社の神鋼鋼線ステンレスなど2社でも不正が判明。神戸製鋼は昨年6月までに不正の報告を受けていたにもかかわらず、「公表の必要なし」と指示していたことが関係者への取材で分かった。
一方、顧客からリコール(回収・無償修理)の費用負担や賠償を求められた場合については「ユーザーが負担したコストは(払う)腹づもりはある」と述べた。
引用元 産経新聞
主要の鉄鋼製品でも、改ざんはありました。
もうどこまであるか、調べきれることができるのかというレベルになってきました。
気になるのが、『神戸製鋼は昨年6月までに不正の報告を受けていたにもかかわらず、「公表の必要なし」と指示していたことが関係者への取材で分かった』ということ。
神戸製鋼の体質が垣間見えます。
このことについて、会長は、会見で述べていません。
会長は、このことを知らないのか、わざと言わないのか。
経営者が、この期に及んで、隠し事は止めてもらいたいですよね。