
スティーブ・ジョブズさん(享年56)が愛用していたハイネックが復活します。
ジョブズさんのモデルは、2011年、彼の死後、生産が中止となっていました。
で、今回復活するモデルは、正確に言うとマイナーチェンジしたものです。
見た目は、若干スッキリするかもしれません。
そもそもジョブズさんはなぜハイネックを着ていたのか?
このことについて、ウォルター・アイザクソン著「スティーブ・ジョブズ I 」に書かれています。
1980年代、ジョブズさんが日本のソニーの工場を訪問したことがありました。
そこの従業員が着ていたジャケットは、「ISSEY MIYAKE」デザインでした。
それを見たジョブズさんは、「ユニフォームこそ会社と従業員をつなぐもの」と思ったそうです。
アップル社にもユニフォームの必要性を感じ、「ISSEY MIYAKE」に自社用ユニフォームのデザインを依頼します。
しかし、アップル社はアメリカの企業。
アメリカという国柄上、従業員の個人主義が強いため、実現しませんでした。
ですが、ジョブズさん、だったら自分だけでもユニフォームを着用しようということで、「ISSEY MIYAKE」のハイネックを着るようになったのです。
これが、ジョブズさんのミニマムライフの始まりです。
ジョブズさんと「ISSEY MIYAKE」の秘話
滝沢直己著「1億人の服のデザイン」で、このことについて書かれています。
滝沢直己さんは、かつて「ISSEY MIYAKE」で、デザイナーとして働いていました。
ある日、ジョブズさんからニューヨークの「ISSEY MIYAKE」に電話が入ったそうです。
「以前買ったTシャツと同じものがほしい」
ジョブズさんは、このTシャツをよっぽど気に入っていたのでしょう。
しかし、そのときすでに、お気に入りのTシャツは、販売終了していました。
そこで、滝沢直己さんが、同じものつくることになります。
まず、ジョブズさんが来日したとき、滝沢直己さんは仮縫いをしました。
というのも、ジョブズさんの体のあらゆる部分を採寸し、両腕の長さの調整や肩幅、左右の重量も快適に着れるように調整された、少しの妥協も許さないスペシャルオーダー品にするためです。
こうして出来上がったスペシャルオーダー品を数百枚、ジョブズさんの元に送ります。
しかし、全て返品に。
滝沢直己さんは、このように語っています。
「実はTシャツの素材の風合いを完全に再現できていなかった。生地の密度がほんの少しだけ違っていたのです。もちろん、糸の番手も同じで、加工の仕方も同じ。見た目もまったく同じです。服では、同じ素材で同じ物を作っても微妙な違いが出ることはよくあること。そのわずかな違いを、ジョブズ氏は見逃さなかったということです」
(本書より)
さずが、ジョブズさん、完璧主義者ですね。
これを受けて、滝沢直己さんは、改めてTシャツを作り直し、もう一度送ります。
すると、ジョブズさんから「ありがとう」とお礼が。
そして、このTシャツの注文が入ります。
その数、数百枚。
このTシャツこそが、あのハイネックです。
しかし、数百枚も買って、ジョブズさん、生涯全部着たのでしょうかね?(笑)
復活するハイネックの発売はいつ?値段は?色は?
復活するハイネックは、元祖と同じく「ISSEY MIYAKE」デザインで、ポリエステル60%、綿40%混紡の長袖シャツ「セミダルT」。
元祖のものより、「シルエット細め」「肩線が高め」なんだそうです。
今月から発売予定で、米国での小売価格は270ドル(約3万円)とのこと。
日本では、いくらで売られるのでしょう?
色は黒のようです。
ちなみに、元祖は、実は黒ではなく濃紺とのこと。
ということは、今回も濃紺なのでしょうか?